幾年もしまいこんだ本の表紙を
守るように集まった埃を撫でたら

陽射しの中にふわり浮かぶのは
きっと幸せだった時代とおなじ空気

あなたの笑みを
思い出したいのに
なぜか霞んでいってしまうから
目を閉じるの

お話のくるみ割り人形みたいに
心だけ残しておけたら良いのにね

観る夢は叶うこと信じながら
無垢なままで聴いていた子守唄

懐かしくても
もう曖昧なメロディーを
口に乗せて
遠い日の声をたどる

ここで創る
私のかたちが
これで正しいのか
あなたに訊きたくって

あの日のように
褪せたページをめくれば
やさしい風が
まだ見ぬ明日を告げ

窓に降る陽が
まつげにそっと触れ
それで良かったのよと
あの声で囁いてく