華婿の夢
夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream. より
「――そうそう、それでね。昨日はこんな夢を見たのよ」
「……って、また夢の話なのぉ?」
「だって、今日は夢の話をする為に貴方を呼んだのよ」
私の名前はメリベリー・ハーン。この冥い街でオカルトサークルをやっているわ。
普通のオカルトサークルとは違って、私達のサークルはまともな霊能活動を行っていない、所謂不良サークルなんだけど……。
それにサークルって言っても、サークルメンバーは二人だけだけどね。
「ねぇ、他人の夢の話ほど、話されて迷惑な物はないわよ?」
そんな事はどうでも良いけど、実は私には凄い能力があるのよ。
うちの家系は昔から霊感はある方だったみたいだけど……。
私は、世界中の結界、つまり境目が見えてしまうの。
サークルは結界の切れ目を探しては、別の世界に飛び込んでみるのよ。
神隠しって奴かしら?
……禁止されてるんだけどね。
ただ最近私は、いろんな世界の夢を見るようになってきて……
「お願い、貴方に夢の事を話してカウンセリングして貰わないと、
どれが現の私なのか判らなくなってしまいそうなのよ」