ヴォヤージュ1969
夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream. より
どこまで行っても同じ風景だったわ。
陽も落ちてしまって、足下もよく見えない……
夜の竹林ってこんなに迷う物だったのね。
時折遠くで聞こえる不思議な鳴き声。獣なのか、それとも……。
どうしましょう?困ったわ。
このまま竹林で彷徨い続けて飢え死にしちゃうのかしら?
それとも、妖怪に喰べられちゃうのかしら?
まだやり残した事色々あったんだけどなぁ。
私は、当てもなく彷徨っていたわ。
お腹がすいたら筍でも食べれば良いかなーなんて軽く思っていたし。
――そもそも夢の中だけどね。
でもね私、その時気が付いたの。天然の筍って、どういう物なのか知らなかったのよ。
合成の物しか見た事ないもの。筍は味しか知らなかったの……
途方に暮れて空を見上げたわ。
満天の星空だった。
初めて貴方の眼が羨ましく思えたわ。
貴方だったら、ここがどこだかすぐに判ったでしょうね。迷わなかったでしょうね。
そう思った直後だったのよ、すぐ後ろで不気味な笑い声がしたのは!