夜が降りてくる ~ Evening Star
夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream. より
でも……不思議ね。
貴方みたいな前時代的な人は、夢と現を正反対な物として考える人が多いけど、
もっともっと果てしなく昔の人は、夢と現を区別していなかったと言うわ。
そして今は、夢と現は区別はするけど同じ物。
現の現実と夢の現実、現の私と夢の私、それぞれが存在するわ。
夜の胡蝶が自分か、昼間の人間が自分か……。
今の常識では、両方自分なのよ。
随分と逃げてきた気がしたけど、全く疲れは無かったわ。
まるで空を飛んでいる様に移動していたから?
私は胡蝶になっていたのかしら?
でも、そんな夜のとびっくらもついにゴールのテープが見えて……
――私は走るのをやめた。
だって、少し先の方の竹林が、紅く光っていたんだもん。
その光は禍々しい色で、現実的な光では無かったわ。
そう貴方に判りやすく言えば……
ルビジウムの炎色反応の色が一番近いかしら?
とてもじゃないけど、光る竹、なんていう代物じゃなかったわ。
私は後ろを気にしながら、そうっと光っている方を覗き見たの。