人形裁判 ~ 人の形弄びし少女
夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream. より
ああ、私はなんていう物を見てしまったのかしら!
今では絶滅した山犬だって河童だって、3DCGで見られる時代なのに……
それでも目の前にいるあんな生き物は見た事がない。
山犬より大きいのに、鼠の様な黒い生き物。眼だけが赤く光っている
……いや、兎だったのかな? 眼が赤かったし。
でも、その眼の付き方がおかしいの。
こう……正面に二つ付いているのよ。そう貴方の眼の様にね。
人間は大抵みんなそうだけど。
顔の大きさは人間のそれとおなじくらいだったわ。
というか人間の顔だったかしら?そう言えば人間の顔だったわね。顔だったのよ。きっと。
人間の顔を持った大きな鼠、貴方、そんな獣知らない?
――その時、大鼠は聞き覚えのある不気味な声を発したわ。
やっぱり私を追っかけていたのはこの大鼠だったのね。
でも、今は私の方を見ていない。紅い光の方を向いている。
そう……周りを紅く染めていたのはその大鼠の眼じゃなかったのよ!
なんと、不気味な大鼠は紅い光に怯えていたわ。
私はその紅く光っている方に顔を向け……