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夢と現の境界

夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream. より

「でね、これがその大鼠と女の子が去った後に落ちていた紙切れよ」
「ねぇ、本当に夢の話なの~?」

 大鼠と対峙していた紅い光の正体は、なんと女の子だったわ。
その女の子が紅く光っていたの。
何で紅く光っていたかと言うと、それは一目瞭然で、女の子はね……全身が日に包まれていたの。

 いや、それは正確な表現じゃあないわね。
全身から火を出していた、という方が的確かなぁ。
女の子の体から深い紅色の炎が斜め上に広がって、まるで羽を開いた鳥の様に……。

 それはね。
人の顔の付いた大鼠など比べものにならないほど、禍々しかったわ。
大鼠は、その女の子が手を挙げただけで恐れをなしてか逃げていったの。

「だぁからぁ、夢と現なんて同じ物なのよ。いっつもいっつも言ってるじゃない。
私にしてみれば、貴方と会っている今が夢の現実かもしれないし……」
「まぁまぁ、夢の世界の話でも聴いてあげるから落ち着いて、メリー。
結局、その女の子は何者だったの? その後どうなったの?」
「知らない。その後は、大鼠が逃げていって……女の子も去っていったわ。
私はね、ずっと大鼠にも女の子にも見つからないように隠れていたの。
大鼠を追っ払って貰ったのにどうして隠れてたの、だって? まぁ……」

 その女の子の眼をまともに見てしまったわ。
大鼠にも勝るとも劣らない紅い眼――
「――あれは人間じゃあ、ないから」



















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